複式簿記のメリット2(記録ミスを見つけやすくすることができる、財務状況を評価することができる)
前回は、複式簿記のメリットを2つ紹介しました。
今回は、3つ目、4つ目のメリットを紹介します。
記録ミスを見つけやすくすることができる
Balancing The Account By Hand / kenteegardin
複式簿記は、実はあらゆる場面で記録ミスを見つけられるようになっています。
勘定科目と金額を、1つのやり取りにつき2列に記録するため、
原則的には両方の列に、同じ数字を書くことになります。
もし2列に記録する理由が、
支払い方法を記録するためだけであれば、
勘定科目を2つ書いて、金額は1つでいいはずです。
これを、わざわざ金額も2つ書くのは、
記録を整理するときに記録ミスを見つけやすくするためです。
詳細は後々お話しいたしますが、
この2列に書いた2つの金額は、整理するタイミングで、
それぞれバラバラに集計されます。
そして、それぞれの集計結果を、また一つにまとめるのです。
この時に、もしもそれぞれの集計結果に差があると、
どこかで集計を間違ったことになります。
多くの場合は、集計途中に見落としや
重複して計算してしまったことが原因です。
このようなミスは、単式簿記で記録していたのでは
中々見つけることはできません。
手元の現金や、商品の在庫など、実物があるものであれば、
実際にそれと比較して間違いを発見し、修正することができますが、
すべての場合でそのようなことができるとは限りません。
そのような意味で、複式簿記は間違いを発見しやすいと同時に、
悪意を持ってわざと間違えることも難しい記録方法なのです。
言い換えれば、会社の売上げを多く見せたり、会社の借金を少なく見せたり
するといった、財務状況を誤魔化しをするのが難しい、
信頼性の高い記録をすることができるのが、複式簿記のメリットです。
財務状況を評価することができる
会社の簿記の記録を利用すると、
その会社がどのような財務状況かを把握することができます。
また、その結果を用いて、
その会社の財務状況がいいのか悪いのか、評価することができます。
単純に、どれくらい売上があったか、どれくらい儲けることができたかの他に、
手持ちのお金に対してどれだけ利益を上げることができたか、
などの商売の効率性や、
どれくらい借金をして商売をしているか、
などの会社のリスク等、決められた指標によって評価することができます。
このあたりはまた別途まとめますが、
一方で、家計の評価方法はそれほど確立していないというのが
私の思うところです。
せいぜい「エンゲル係数」くらいしか思いつきません。
そこで、会社の財務状況評価に用いられている指標を
転用することで、家計の評価を行うことができるのです。
もちろん、すべての指標が使えるとは思えません。
家計評価には適さない指標もあるでしょう。
そこは、運用しながら考えていくのが良いと思います。
以上のように、複式簿記には多くのメリットがあります。
次回は、複式簿記のつけ方に必要な最低限の用語「借方」と「貸方」を説明します。