仕訳の具体例7(見越し)
前回は繰延べを扱いましたが、今回は見越しを説明いたします。
見越し
繰延べが「本来、未来に行うべき支払いを前倒しでしてしまった時の処理」なのに対し、
見越しは「本来、過去に行うべき支払いを先送りにしてしまった時の処理」です。
「翌月分の家賃を今月のうちに払ってしまった」というのを、
「ちゃんと翌月分は翌月に払ったことにする処理」が繰延べなら、
「先月分の家賃を今月に支払うことになってしまった」というのを、
「ちゃんと先月分のは先月に払ったことにする処理」が見越しです。
来月に払うことを「見越して」、今月払ったことにしてしまう、というわけです。
言葉で説明するのも遠回りなので、仕訳を見てしまいましょう。
借方 | 貸方 | ||||
月 | 日 | 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
4 | 30 | (家賃) | 30000円 | (未払家賃) | 30000円 |
4月分を次月から見越し | |||||
5 | 1 | (未払家賃) | 30000円 | (普通預金) | 30000円 |
4月分を〇〇銀行口座から引き落とし |
これによって、4月分の家賃は4月内に払ったことにでき、
実際に銀行口座から引き落とされたのは5月
というやり取りを記録することができました。
繰延べ・見越しの使い方
このように、繰延べ・見越しは、
「取引が行われるべき時期」と「実際に取引が行われた時期」が
ずれた時に、使うことができます。
この「取引が行われるべき時期」というのは、記入する人が判断するのですが、
例えば、「〇〇月分」というのが実際に「〇〇月」に支払われなかった
(前払したのか、支払いを遅延したのか)というケースです。
お小遣いの前借りも、家計からしたら前払いになります。
次回は、給料の天引きを扱います。