仕訳の具体例6(繰延べ)
前回の記事で、サービスを利用したタイミングと、
費用が銀行から引き落とされるタイミングが異なるときに、
それを一致させる手段として
「繰延べ」と「見越し」というものがあるということを説明しました。
これについて、もう少し定義を明確にしてみましょう。
Justice Close, Leamington Spa 2 / lydia_shiningbrightly
「繰延べ」
簿記をつける目的として、
家計を管理するという点があります。
その一環として、月々の収支を記録し把握するという目的があります。
例えば、毎月1日にその月分の家賃を払っているとしましょう。
借方 | 貸方 | ||||
月 | 日 | 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
4 | 1 | (家賃) | 30000円 | (普通預金) | 30000円 |
4月分を〇〇銀行口座から引き落とし |
これが例えば、5月分を4月末日に支払ったとします。
借方 | 貸方 | ||||
月 | 日 | 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
4 | 30 | (家賃) | 30000円 | (普通預金) | 30000円 |
5月分を〇〇銀行口座から引き落とし |
このまま4月分の仕訳をまとめてしまうと、
4月に2か月分の家賃を払っていることになってしまい、
逆に5月には家賃を払っていないことになってしまいます。
もしこれを調整したい、となったら
簿記の手段として「繰延べ」という方法があります。
これは、要約すると
- 4月末日に支払った家賃を一旦前払扱いにする
- 5月初日にその前払い分を家賃で相殺する
という方法です。
仕訳で書けば、以下のようになります。
借方 | 貸方 | ||||
月 | 日 | 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
4 | 30 | (前払家賃) | 30000円 | (普通預金) | 30000円 |
5月分を〇〇銀行口座から引き落とし | |||||
5 | 1 | (家賃) | 30000円 | (前払家賃) | 30000円 |
5月分を前月から繰延べ |
これで、銀行口座からの引き落としは4月に、
家賃の支払いは5月に記録されることになります。
次回は、もう一方の「見越し」を説明します。
次回:仕訳の具体例7(見越し)