仕訳の具体例3(プリペイドカードによる買い物)
さて、プリペイドカードによる買い物の場合です。
プリペイドカード(前払い)の場合
先にカードに現金をチャージし、そのカードを使う場合や、
先に現金でカードを購入して、そのカードのポイントと交換で商品を買う場合がそうです。
Suicaなどの交通系ICカードや、iTuneカードなどがそれに相当します。
ここではこれらのカード類をまとめてプリペイドカードと呼んでいます。
プリペイドカードによる支払いも、クレジットカードによる支払いと同様に
2つのやり取りから成り立っています。
- 先に現金を支払い
- 後で商品を手に入れる
もちろん、仕訳も2行分必要です。
こちらも結論から先に示すと、以下のような仕訳になります。
借方 | 貸方 | ||
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
(前払金) | 154円 | (現金) | 154円 |
Suicaに現金でチャージ | |||
(交通費) | 154円 | (前払金) | 154円 |
東京~上野をSuicaで支払い |
今度は「前払金」という言葉が出てきましたが、
これは説明不要ですね。
改めて簿記の用語として定義するなら、
「現金の支払いと同じ効果を行使できる権利」
とでも言いましょうか。
1行目のやり取りで、現金と交換で手にしたものは、
「現金の支払いと同じ効果を行使できる権利」と考えます。
そして2行目では、その権利を手放す代わりに、
交通費というサービスを手に入れているわけです。
「〇〇費」「〇〇代」という勘定科目
ここで、ちょっと引っかかった人がいらっしゃるかもしれません。
「借方に書くのは受け取ったもののはずなのに、
交通費を受け取るというのはおかしいのではないか?」
という疑問です。
実は交通費に限らず、「〇〇費」「〇〇代」などの勘定科目は
一般的なやり取りをしていると、すべて借方に書き込まれます。
これについては、色々な理解の方法があるのですが、
先に「受け取ったものが借方」と説明している状況では、
次のような理解が納得しやすいと思います。
それは、
「〇〇費」「〇〇代」などは「〇〇のサービスを受け取った」と読み替える
という理解です。
「交通費」という借方の勘定科目は、
「交通のサービスを受け取った」と考えるとすっきりします。
「交通費」の他、
「交際費」「電気代」「電話料金」なども同じように考えましょう。
そもそも「食費」だって同じ「〇〇費」なのですけど、
どうも交通費や電気代のように、形のないものの買い物だと
何だか腑に落ちないわけです。
次回は、給与の銀行振り込みについて説明します。